本記事では、失業保険の具体的な仕組みについて解説していきます。
失業保険によって受け取れる額の計算式は、
【賃金日額】×【給付率】×【支払期間】
といった計算式で出された額になります。
上記説明だけでは分りづらい部分となりますので、詳細を解説していきましょう。
失業保険の対象となる賃金日額とは
まず、賃金日額ですが、これは退職する直前6ヶ月間の、
・基本給
・残業手当
・交通費
・住宅手当
・家族手当
・養育手当
・資格手当
など、基本給を含め、毎月定期的に支払われる事が決まっている賃金全てが含まれ、退職前6ヶ月間に支払われた、これらの額の平均日額が、賃金日額となります。
ただし、賃金日額には、
・ボーナス
・インセンティブ(営業等の歩合給)
・お見舞い金
・健康保険の傷病手当
上記に該当する、特別手当は含まれませんので注意して下さい。
失業保険の対象となる給付率とは
次に給付率ですが、こちらは、
・年齢
・賃金日額
によって変動します。
具体的な数字は以下の通りとなっており、
60歳未満か、60歳以上で給付率が変わるほか、賃金日額によっても給付率は変動します。
更に、支給額には上限が設けられており、こちらも年齢により異なるのですが、
上記図の様に、退職時の年齢によって上限額が変動します。
失業保険の対象となる支払期間とは
最後に支払期間ですが、ここが最も重要な箇所となります。
失業保険の1日あたりの支給額には上限が設けられている為、同保険を多く受けとる為には、より長い期間失業保険を受け取れる条件を満たす事が重要となります。
まず最初に、基本となる失業保険の金額と受取期間を解説します。
【失業保険の受給期間について】でもザックリ解説しておりますが、失業保険を受け取れる給付者は、
◎ 自己都合退職(一般受給資格者)
◎ 会社都合退職(特定受給資格者)
このいずれかに分類されており、どちらに該当するかで給付金を受け取れる期間が大きく異なります。
まず、自己都合退職・定年退職による、一般受給資格者の場合ですが、
雇用保険の被保険者期間によって、上記の受取期間に分類されます。
これと同時に、一般受給資格者の場合、3ヶ月間の給付制限が付きますので、退職後に失業保険の手続きを行っても、3ヶ月間の給付制限が発生し、その間は失業保険が支給されません。
これに対し、会社都合退職による特定受給資格者の場合は、
上記の様に、被保険期間・年齢によって、支給期間が大きく変わってきます。
上記に加え、特定受給資格者の場合は、一般受給資格者と異なり、3ヶ月の給付制限が付かないメリットがあります。
(申請後、7日間の待機期間を過ぎれば、即支給されます。)
リストラや退職勧奨(いわゆる肩たたき)を受け、退職を考えている場合は、前図の中で支給される期間が変わってくる時期が近づいているのなら、その時期を越えてから退社する事を、退職時の条件に盛り込む事が可能です。
元々、リストラや退職勧奨は、会社側の指示に必ずしも従わなくてはいけない、というものではありませんので、こちらの提示する条件を組ませる事は十分可能です。
(懲戒処分は別ですので注意して下さい)
この様に、
・特定受給資格者
・一般受給資格者
では、支給される期間、給付制限ともに、大きな差が生じますのでその違いをしっかりと理解する事が重要となります。
なお、上記の支給期間はあくまで、基本となる給付期間であり、これらの期間を更に延長する方法が複数存在します。
ですが、あと数ヶ月、数日、失業保険の被保険者でいる事によって、受給資格の年齢が変わるのであれば、労せず受給期間を伸ばせるのですから、被保険者期間については退職前に必ず確認する様にしましょう。
まとめ
失業保険の支給額は、【賃金日額】×【給付率】×【支払期間】によって決まります。
● 賃金日額とは
退職する直前6ヶ月間に支給された賃金(基本給だけで無く、残業手当や住宅手当、交通費等も含まれる)の平均日額(1日あたりの額)
ただし、ボーナス等の臨時支給は対象外となります
● 給付率とは
給付率は賃金日額、年齢によって変動します
※ 詳しくは上記を参照
● 支払期間とは
支払期間は、会社都合退職、自己都合退職により大きく異なります。
また、失業保険の被保険者期間によっても変動しますので、上記をご参照下さい