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会社都合退職の条件

失業保険によって支払われる金額」でも解説したとおり、失業保険の支給期間は、

● 自己都合退職

と、

● 会社都合退職

では、大幅に異なっていきます。

 

多くの方は、会社都合退職 = リストラと考えがちですが、リストラ以外にも会社都合退職に該当する条件は多数あります。

しかし多くの場合、会社側はなかなか、会社都合退職を認めてくれません。(理由は後述します)

 

それでは、どの様にすれば会社都合退職の資格を得られるのか、そもそも、会社都合退職とはなんなのか。

本ページでは【会社都合退職】について詳しく解説していきます。

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会社都合退職の可否を判断するのは「会社」では無い

まず最初に、会社都合退職を得る為の条件について解説していきます。

前述した通り、リストラに限らず会社都合退職に該当する条件は多数あるのですが、下記条件に該当したとしても、会社は簡単に会社都合退職を認めません。

 

ですが、間違っても泣き寝入りしないで下さい。

会社都合退職の可否を判断するのは、勤務先の会社では無く、直轄するハローワークの判断となります。

会社側が会社都合退職を認めようとせずとも、ハローワークが「会社都合退職に該当する」と判断すれば、会社都合退職による退職が可能となります。

 

では、ハローワークに会社都合退職を認めて貰う為の手順ですが、

● 下記に挙げる「会社都合退職に該当する条件」の中で、自身に該当するものを見つける

● 同条件での会社都合退職の可否をハローワークへ確認し、条件を満たすために必要となる書類等の確認を行う

● ハローワークが会社都合退職を承認できる条件を整えた上で、退職する旨を会社に伝える

以上の流れで退職準備を勧めれば、会社都合退職の権利を得ることが可能となります。

 

会社都合退職に該当するための条件

では、会社都合退職のに該当するための条件について解説を行います。

同条件は大きく分けて14項あり、その中のいずれか1つ当てはまる項目があれば、会社都合退職の資格を得る事が可能です。

まずは自分に当てはまりそうなケースを見つけていき、同条件を認めて貰う為に必要となる書類・証拠等を、ハローワーク職員へ相談しながら揃えていきましょう。

 

※各項目毎に記載している必要とされる書類は、一般的な例となります。

詳しくはご自身の住居を直轄するハローワークに問い合わせ、必要書類の詳細を確認する様にして下さい。

 

それでは会社都合退職に該当するための条件を挙げていきます。

 

会社都合退職の条件 1:会社の倒産

勤務先の会社が倒産した場合は、当然ですが会社都合退職となります。

また、民事再生法による再生手続開始、会社更生法による更生手続開始の場合も、会社都合で退職が可能です。

ただし、上記理由から会社都合退職の資格を得るには、「再生手続き開始の申立て」が行われ、「民事再生手続きの開始」が始まるまでの期間に退職の意志を示さなければいけません。

(この期間を過ぎると、自己都合退職扱いになる事もあります)

 

また、上記期間中であっても、話し合いに応じてくれない会社もあります。

そういった際には、当事者同士で話し合うのではなく、第三者としてハローワークに介入して貰う事が可能です。

会社を管轄しているハローワークに、「民事再生法による再生手続きを理由に退職しようとしているが、会社側が会社都合退職を認めてくれない」と相談してみて下さい。

会社が再生手続きを行っている証拠さえあれば、(登記簿等で確認が可能です)ハローワークの介入により、会社都合退職の資格を得る事が出来ます。

 

なお、会社が倒産した場合は、その間未払いであった分の給料を、会社から受け取る事が困難になります。

建前上は、会社に対しての債権となりますが、事実上支払われる事は、まずありません。

そんな時に泣き寝入りしない為にも、給料が遅れだした時点で、対応策を考えしましょう。

 

会社都合退職の条件2:大量人員の退職

・事業所内で1ヶ月に30人以上のリストラ等による離職者(離職予定を含む)が出た場合

・1年間又は、人員整理開始日から雇用保険被保険者の1/3が、勧奨退職または、希望退職応募退職した場合

上記のどちらかが会社内で起きた場合、自分が人員整理された対象でなくても、会社都合退職する事が出来ます。

 

大量の人員整理が起きたという事は、「次は自分かも知れない」と、誰でも不安を感じますので、その不安を理由に会社都合退職する事が可能です。

ただし、常に人員が激しく入れ替わる、入退社の多い会社の場合、上記に当てはまらない事もあるので注意して下さい。

なお、同理由で会社都合退職をする場合は、30人以上のリストラ・勧奨退職・希望退職が起きた事を証明できる書面が必要となります。

 

会社都合退職の条件3:事業所の廃止による離職

会社が営業を停止した場合や、再会されるめどが立たない場合です。

倒産とほぼ同意義なので、まず問題なく会社都合退職が認められます・

 

会社都合退職の条件4:事業所の移転により、通勤が困難となった場合

現在通勤している事業所が移転になったり、閉鎖などの理由で他の事業所へ配置転換となり、通勤に掛かる時間が、1日あたり往復で4時間を越えてしまう場合は、会社都合退職が可能です。

通勤に掛かる時間には、交通機関の時間だけでなく、自宅から最寄り駅までの時間を含めた、ドアtoドアでの往復通勤時間が、4時間を越えれば認められます。

なお、同理由による会社都合退職を証明するには、自宅から事業所までの通勤時間を証明する書面等が必要となります。

(Yahoo!乗り換え案内などのプリントアウトでも大丈夫です)

 

会社都合退職の条件5:解雇(重責解雇を除く)された場合

会社の業績悪化による解雇はもちろん、営業成績の不振、身体的理由(体調を壊し、休みがちになってしまった事を理由にした解雇など)、懲戒解雇以外の形で、解雇を告げられた場合は、会社都合退職が可能です。

また場合によっては、不当解雇を理由に訴える事も可能です。

 

会社側が解雇を告げる場合、就業規則(著しく業績が悪い場合は解雇するなど)を持ち出すケースが多くありますが、裁判所の判例の多くは、

・解雇する前に配置換えを行い、能力を発揮できる部署に移転すべき

・成績が上がる様、指導するのが会社の勤め

などの理由を挙げ、不当解雇を認めるケースが7~8割です。

 

また、不当解雇で訴えを起こしている最中は、会社に出社せずとも給料を得る事ができるチャンスでもあります。

ただし不当解雇に対し、実際に訴えを起こすのなら、弁護士さんの力が必要になります。

不当解雇を理由に訴えを考えるのなら、一度弁護士さんに相談される事をお勧めします。

 

会社都合退職の条件6:労働契約と実際の労働条件が異なる場合

入社前に説明された労働条件と、実際に勤務を始めてから条件が異なっていた場合も、会社都合退職が可能になります。

 

良くあるパターンですが、

例1:休日に関する契約不履行

● 入社前に提示された労働条件 ⇒ 週休2日

● 実際 ⇒ 週休1日

 

例2:残業に関する契約不履行

● 入社前に提示された労働条件 ⇒ 残業代は全額支払い

● 実際 ⇒ 残業代のMAXは30時間まで

この様なケースは多くあるかと思います。

 

ただし、上記を理由にするには、「入社から1年以内」である事が条件です。

1年を過ぎた時点で、実際の労働条件を認めて勤務していると判断されてしまうためです。

 

また、入社前に提示された労働条件について書かれた、雇用契約書や就業規則が必要になります。

手元にない場合や、入社時に貰ってない場合は、

「冠婚葬祭についての規定を確認したい」

「手当の付く資格について確認したい」

などといった理由を並べ、就業規則等を確認しておきましょう。

(当然ですが、会社都合退職する為に見たい、等と言って見せてくれる会社はありませんので注意して下さい)

 

上記の様な理由でも見せて貰えない、確認が出来ない場合は、本社を管轄している労働基準監督署へ出向き、

「会社に就業規則を確認したが、見せて貰えなかった」

旨を伝え、社員証等を見せれば確認する事が出来ます。

※ 労働基準監督署については、

全国労働基準監督署の所在案内】こちらから確認できます。

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会社都合退職の条件7:給料が遅れた場合

給料日に支払われるべき額の1/3以上が、2ヶ月以上連続で給料日に支払われなかった、遅れた。

この場合も、会社都合退職が可能です。

 

ただし条件があり、給料が2ヶ月以上連続で遅れた期間から、3ヶ月が経過してしまうと認められなくなります

(この3ヶ月は、予定通りに支払われているものとします)

 

給料の支払いが遅れる=会社倒産の危機と、判断した上で、会社都合退職が認められる訳です。

その後、3ヶ月間が予定通りに給料が支払われたという事は、倒産の危機を脱したという意味になりますので、会社都合退職が認められなくなります。

 

前述しましたが、給料が遅れた・未払いだったまま会社が倒産した場合は、事実上、給料を会社から受け取る事は困難になります。

給料を取りっぱぐれない為にも、給料が遅れだした時点で、会社都合退職を考慮する様にしましょう。

 

また、給料が未払いのまま、会社に倒産された場合、未払賃金立替払制度という制度で、未払い分の給料を国に立て替えて貰う事が可能です。

未払賃金立替払制度については、

未払賃金立替払制度の概要

上記の厚生労働省ホームページから確認が出来ます。

(詳しくは、会社を管轄していた労働基準監督署に相談下さい)

 

ただし、この制度を用いても、実際に支払われる予定だった給料の80%までしか立て替えて貰えません(上限額も設定されています)。

煩わしい手続きも多くなる様なので、給料が遅れだした時点で、会社都合退職を考慮し始める事をお勧めします。

 

会社都合退職の条件8:賃金がカットされた場合

給料が15%以上カットされた場合も、会社都合退職が可能となります。

(ボーナスや残業代は含まれません)

 

ただし、これにも条件があります。

・懲戒(罰則)による給料カット

・欠勤による給料カット

・定年退職後、再雇用時の給料カット

・役職が降格した際の給料カット

・配置換えによる給料カット

・社員全体に所定の手続きを終え、予告されていた給料カット

上記のいずれかに当てはまっている給料カットは、会社都合退職に認められないので注意して下さい。

 

会社都合退職の条件9:残業超過

1ヶ月間に45時間以上の残業を、3ヶ月連続でこなした場合、会社都合退職が可能になります。

多くの方が知らない様ですが、45時間を越える残業が3ヶ月続く事で会社都合退職ができる本条件は、上記のケース(倒産や給料未払いなど)とは異なり、自分のペース配分で条件を満たす事が可能となる、会社都合退職の資格を得る方法となります。

 

同条件を満たすにあたり、注意すべき点としては、

● 1ヶ月前 ⇒ 残業80時間

● 2ヶ月前 ⇒ 残業40時間

● 3ヶ月前 ⇒ 残業50時間

のように、途中に1ヶ月でも、残業時間が45時間未満の月があると成立しませんので、上手に残業時間を調節しましょう。

 

また残業だけでなく、会社の始業開始時間を前倒しして行った業務時間も、残業時間に合算して申告する事が可能です。

これらの証拠を提示する為にも、タイムカードをコピーしておいたり、給与明細に残業時間が記されている場合は、必ず保管しておきましょう。

タイムカード等が無い場合でも、残業して会社にいた事を証明できるものがあれば可能です。

 

会社都合退職の条件10:転属、部署の配置換え

入社から10年間営業一筋だったのに、ある日突然、総務への移動を命じられた。

この様な配置換え・転属も、会社都合退職が可能になるケースです。

 

条件として、

・入社前に提示された労働契約に無い職種への変更

(一般職、総合職にて入社している場合は当てはまらない)
・入社前に提示された労働契約に無い勤務地への転勤

(通勤の往復時間が4時間を越えるケースが対象)
・10年以上同じ職種で勤務してきたのに、予告の無い配置換え

これらのいずれかに当てはまる事が必要です。

 

この中で、最も会社都合退職を得やすい事例となるのが、10年以上同じ職種で勤務してきた中での、予告の無い配置換えになります。

本来会社側には、10年以上という長い期間を同じ職種で働いてきた社員に職種変更を命じる場合、その社員が新しい職種で働ける様、訓練する義務があります。

ですが、この様な人事異動の多くは、異動となった社員自ら退職を告げて貰う事が会社側の狙いですので、会社都合退職を認めさえる事は十分可能です。

 

その為には証拠として、これまで10年間同じ職種で勤務していた事を証明できるものと、配置換えとなった事を証明するもの、

(辞令や雇用契約書が手元にあれば、問題ありません)

以上の2点があれば、問題なく会社都合退職を認めて貰う事が可能です。

 

会社都合退職の条件11:契約期間の終了

同条件は、正社員以外のパートや契約社員、派遣社員契約による退職時に該当するケースとなります。

期間の定められている雇用で、

・1回以上、雇用契約の更新を行い、3年以上勤務していた場合

・2回以上、雇用契約の更新を行っている場合

このどちらかに当てはまりながら、契約が更新されなかった時点で、会社都合退職を認めて貰う事が可能となります。

 

会社都合退職の条件12:事業所の休業

工場や製造所の様な事業所が、操業を一時的に休止し、その期間が3ヶ月を越えた場合、会社都合退職が可能になります。

この場合、休業前の給与明細と、休業後3ヶ月間の明細を見比べる事で、休業中である事は分かりますので、上記期間の給与明細をハローワークに見せるだけで、認定が可能になります。

 

会社都合退職の条件13:会社の法令違反

現実的には少ないケースとなりますが、会社側が、

・民法

・安全衛生法

・その他、業界内の規制法等

これらの法令を違反している場合も、会社都合退職する事が可能です。

(上記違反が公になった場合も、会社都合退職を認めて貰う事が可能となります)

 

ただし、上記の様なケースが公にされていない段階でハローワークに問い合わせても、

「労働局か、労働基準監督署と相談して欲しい」

といった回答となり、上記機関を通し会社の不正を明らかにしないといけません。

一社員が声を上げても、会社側が認める事は希なので、同違反が公にならない限り、難しいものとなります。

 

会社都合退職の条件14:行政機関からの指導

会社が行政機関より、

・残業過多による、従業員の健康障害の可能性を指摘され、指導を受けた

・労災などが発生する危険があるため、対策を練る様、指導を受けた

この様な指導を受けながら、それらを正さず、対策を練らなかった場合も、会社都合退職を認めさせる事が出来ます。

 

会社都合退職の条件15:イジメ、嫌がらせを受けた

一般的なものでは、短い期間内で複数回の転勤命令や、配置換え

最近では、セクハラやパワハラ(パワーハラスメント:地位や権力を利用した脅し、嫌がらせ)も含まれます。

 

ただしこれらの場合は、ハローワークに認めて貰う為の証拠を提示する事が難しくなります。

また、第三者から見ていじめであっても、当事者が認めないケースでは立証が難しくなりますので、注意して下さい。

 


以上15項目が、会社都合退職が可能な条件となってきます。

これらのどれかに当てはまっている場合は、

こちらの条件で、受給資格を得る事が可能になりますので、自身に該当するケースが無いか、細かくチェックしてみましょう。

 

まとめ

会社都合退職の可否を判断するのは、あくまでハローワーク。

同資格を確実に得るためにも、退職前に必ず、ハローワークへの相談を行う事。

 

『会社都合退職に該当する条件と、同条件を満たすための準備』

【会社の倒産】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 特になし

 

【大量人員の退職】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 30人以上のリストラが起きた事を証明できる書類か、被保険者の1/3が、勧奨退職または、希望退職応募退職した事を証明する書類が必要

 

【事業所の廃止】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 特になし

 

【事業所の移転】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 転勤に関する辞令と、自宅から新事業所までの通勤に、往復4時間以上掛かる事を証明できるもの。

(乗り換え情報サイトなどのプリントアウトでもOKです)

 

【解雇】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 特になし。(場合により、解雇予告通知が必要になる事も)

 

【労働契約】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 雇用契約書、または就業規則と、預金通帳や給与明細

 

【給与遅延】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 預金通帳と給与明細

 

【残業】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ タイムカードや給与明細(残業時間が記載されているもの)など、残業超過を証明できる書類やコピー

 

【転属】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 雇用契約書、配置転換に関する辞令、給与明細など

 

【契約期間終了】を理由に会社都合退職する際、必要となる書類

⇒ 雇用契約書、契約更新に関する通知書

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